なんだか急に暑くなってきて仕事場に差し込む西日もヤバいですが、おかげさまで元気に執筆活動を続けております。
さてさて、今度日曜(5月26日)に例大祭10が迫っております。
例大祭10では大きく分けて2つ8の関係した配布物がございますので、それについて告知させていただきます。
1.8がシナリオを担当した同人誌が配布されます。
タイトルは『霊夢さんの脇がチルノの氷で大変な件』で霊夢とチルノ主体のギャグ漫画となります。
配布場所はT-03a『Pt.Spoon』さんです。
当日は紙袋やグッズがついたセットも販売されるとのことですので、是非是非詳細をチェックして見て下さい。
特設サイトはこちら
2.冬コミで配布した『はぼ☆たん コンプリートセット』を再販します。
8が代表を務めているゲーム制作サークル『はぼ☆たん』から、今までの東方二次創作活動をまとめた『コンプリートセット』と『メイキングセット』を再販いたします。
場所は、同じくT-03a『Pt.Spoon』さんです。
セット内容については下記リンクをご参照ください
→お品書きはこちら
配布物のジャケットは以下の通りです。
(東方生徒会紅魔郷編~前編~) (東方生徒会紅魔郷編~後編~)
(東方生徒会~咲夜伝~) (東方生徒会紅魔郷編~放課後~)
この両セット共に封入されている「東方生徒会 紅魔郷編~放課後~」はゲームの企画書やプロのアニメーターであるまたたびーと氏のゲームCG原画や、8流のシナリオ作成技法など、ゲームの作成の裏話やテクニックの助けになりそうな要素を出来る限り詰め込んだディスクとなっています。
これからゲームを作ろうと思っている方はもちろん、どうやってゲームが作られているのか気になると思っている方に特にお勧めのディスクです。
少部数生産のため委託する予定はございません。なので、会場にて是非お手に取っていただけたらと思います。
例大祭当日はT-03a『Pt.Spoon』にて売り子をやっているので、多くのみなさんと会えることを楽しみにしております。
それでは、例大祭を大いに満喫しましょう!
「これでよし……っと」
額にうっすらにじむ汗を拭いつつ、私は約30分ぶりに作業の手を止めた。
たぶん、ここまでに大きな失敗はないはず……。自信ない……けど。
でも、巴さんに教えられたとおりのレシピで作ったし、美樹さんは料理は気合いだって教えてもらったし、佐倉さんは何度も試食してくれたし……。
うん、きっとこれで大丈夫なはず。
あとは、これが上手く焼けてくれるのを待つばかり。
私は祈る思いで型に生地を流し入れ、オーブンの中にそれを入れた。
バタン
重い音を立てて、鉄製の扉が閉まる。
ホントにこれで大丈夫だよね……。何か入れ忘れてる物とかないかな。
さ、さっき入れた白い粉、あれはちゃんとお砂糖だったよね?
何度も確認したはずだけど、まさか間違えてお塩を入れてるなんてことは……。
居ても立ってもいられなくなった私は、急いで台所の上を確認する。
でも、当然のごとく台所にある袋には大きな文字で「上白糖」と書かれていた。
良かった。これで間違いはないはずよね。
いけないいけない。こんなことじゃ美味しい物は作れないわ。
みんな口を揃えて言ってたわ、料理は気持ちが大事って。私が弱気になってたら、料理も美味しくなくなっちゃう。
大丈夫、きっと大丈夫。お菓子さん、頑張って美味しくなってね。
ピッ
私の一大決心とは裏腹に、軽い電子音が部屋に響く。そして、小さな音を立てて動きだすオーブン。
もう後戻りはできない。あとは待つばかり。
はぁ……緊張するなぁ……。
こんなに緊張するのはいつ以来かな。
初めて鹿目さんに会った時もこんなに緊張しなかったし、こっ、告白された時だって……。
そもそも、告白された時は頭が真っ白になっちゃって、黙って頷くしか出来なかったもの。
……そう言えば、私まだちゃんと鹿目さんに告白の返事をしてない……?
思い返せば、鹿目さんに好きって言われた後も黙って頷くか、『わ、私も……』としか言えてないかも……。
ちゃんと言わなくちゃ。今日、コレを渡す時に……。
でも、なんて言おうかな。やっぱり、ストレートに『好きです』とか?
無理無理、絶対無理。そんなこと言ったら、気絶しちゃうかもしれない。
手紙を一緒に渡すなんてどうかな? 面と向かっては言えないけど、これだったらちゃんと伝えられる気がする。
そうと決まれば、便せんと封筒を用意しなきゃ。
私は自室に戻ると、手紙を書くべく準備を始めた。
いざ探すと、なかなかピンと来る便せんってない物ね。こっちじゃファンシーすぎるし、こっちじゃ大人しすぎるし……。
いっそ絵でも描いてみて……。駄目駄目、私、絵心ないもの。
うーんうーん。
そんな調子で便せん選びも、封筒選びにも時間がかかってしまい、本文を書く頃にはすっかり日も暮れてしまいました。
いけない! オーブンすっかり忘れてた! 早く袋詰めしないと、鹿目さんが帰ってきちゃう。
私は大慌てでオーブンの前に戻ると、すっかり冷えている扉を勢いよく開けました。
ガチャン
あ、いい匂い……。見た目も美味しそうだし、あら熱も取れているみたい。軽くお砂糖をまぶして、袋詰めしちゃおっと。
私は事前に用意しておいた袋にお菓子を詰めると、リボンで丁寧に蝶結びをしました。
鹿目さんと同じ、赤いリボン。なんだか見てるだけで嬉しくなってくる。
いつかこうして、鹿目さんのリボンを結んであげるようになれたらなぁ。
そしたら、鹿目さんのさらさらとした柔らかい髪の毛、触り放題だし……。
鹿目さん、なんだか甘いイチゴの匂いがするのよね。なんでかな。石鹸もシャンプーどれを使っているか知っているけど、どれもイチゴの匂いなんてしないよね。不思議。
「どうしてだろうねー。私も不思議だよー」
「わわっ! か、鹿目さん!」
「えへへ。驚かせちゃってごめんね、ほむらちゃん」
振り返ると、いたずらっ子の目をした鹿目さん。えっ、なんでどうして?
「今日はお仕事早く終わったから、早めに帰ってきたんだ。ちゃんとただいまーって言ったよ?」
「ご、ごめんね鹿目さん。私全然気づけなくて」
「気にしないで。なんだか考え事してたみたいだし」
「……もしかして、全部聞こえてた?」
「なんで私からイチゴの匂いがするんだろー、って考えてるのは聞こえてたよ」
「……………」
かぁっと自分の顔が真っ赤に染まっていくのが分かります。は、恥ずかしすぎる……。
「ねぇねぇほむらちゃん。私、本当にイチゴの匂いがするの?」
「ちょ、ちょっとだけ」
「本当? 変じゃない?」
「変なんかじゃないよ! その、イイ匂いだなって思うし……」
「えへへ。そう言われると嬉しいな。でも、ほむらちゃんからはチョコの匂いがするね。何か食べてたのかな?」
クンクンと、鹿目さんが私の首筋の匂いをかぐ。ほぼ密着する体勢となった私は、まるで金縛りにあったように、指一本動かせません。
「か、かな、かなめさん」
「んー? なーに? ほむらちゃん」
「ち、近すぎる……よ」
「えー。いつもはもっとくっついてるよ?」
「で、でも……」
「ふふっ、ごめんね。ほむらちゃんが可愛いから、つい意地悪したくなっちゃった」
鹿目さんが、ふっと身体を離す。そして、ほのかに香るイチゴの香り。
「それで、何を食べてたの? 私にも分けてよ」
「え、えっとそれは」
ど、どうしよう。まだ手紙書き終わってないし、ラッピングまでは終わってるけど心の準備が……。
「ほむらちゃーん、隠し事はなしだよぉ。ね、教えてよ?」
鹿目さんが下から邪気のない瞳で覗き込んでくる。この瞳に、私は勝つ術を知りません。
「え、えっとね。食べてたんじゃないの。作ってたの」
「作ってたの? 何を?」
「その……ガトーショコラを。今日はバレンタインだし……」
「わぁ! ありがとう! ねえ、どんな感じなの? 見せて見せて!」
「う、うん。そこにあるよ」
「わー。綺麗な袋。それに私とおそろいのリボンだ。えへへ、なんだか嬉しいな」
鹿目さんが極上のとろけきった笑顔を私に向ける。
ああ、この笑顔を見るだけで、今までの苦労なんて全て吹き飛んじゃう。
「ね、ほむらちゃん。私、ほむらちゃんから直接渡して欲しいな」
「え、でも……」
「せっかくほむらちゃんが心をこめて作ってくれたんだもん。最後までほむらちゃんに頑張って欲しいの」
「う……うん」
私はおそるおそる袋を手に取ると、両手に乗せて鹿目さんに差し出した。
恥ずかしすぎるのと、鹿目さんの反応が怖いのとで、鹿目さんの表情をまともに見ることができません。
「わぁ……。ねぇねぇ、開けてもいいかな?」
「ど、どうぞ」
「わぁい! じゃあ、遠慮なく」
しゅるしゅると、布がこすれる音がします。顔を伏せているから分からないけど、きっとリボンが解かれたに違いありません。
「すごくいい匂い。それに、形も綺麗。ありがとう、ほむらちゃん♪」
鹿目さんの声が弾んでいます。その表情も、仕草も全部見たいのに、臆病な私は顔を上げることが出来ません。
でも、ちゃんと伝えなきゃ。今日こそは、ちゃんと、気持ちを。
こんなに頼りのない私をいつも大好きだって言ってくれて、いつも私を守ってくれる、私の大切な人に、最大限の気持ちを込めて。
「それじゃあ、いただきまー」
「ま、まどかっ、あのねっ!」
fin
えぴろーぐ
「ほむらちゃーん」
「なに? 鹿目さん」
「これなーに?」
「そ、それは、書きかけの便せんっ!」
「ねえねえ、何を書こうとしてたの? 宛名、私になってるよ?」
「そ、それは……」
「さっきはあんなにちゃんと……」
「や、やめて、言わないでっ」
「もう、可愛いなぁほむらちゃんは」
「え、なに? 鹿目さん、近い……きゃあ♪」
やっぱりfin
(というか、一度も落ちたことないのはホントなんででしょう。。。w
日曜ク14b はぼ☆たん でブースをいただいております。
現在新作内容は詰めておりますが、今までのはぼ☆たんとしての活動の総決算になるものが出せれば良いなぁーとは思っています。
活動開始から丸4年が経過し、苦難の連続ではありましたが、一度も新刊を落とさずに出し続けてきたのは、ひとえにメンバー一人ひとりの努力があってのことだと思っています。
その4年間のノウハウや素材をまとめ、今後ゲーム作成を志すサークルの皆さんへの何かしらのアドバイスになるような物を作ることが、自分たちをここまで成長させてくれたファンの方々や、同人ゲーム界へのせめてもの恩返しかなと思います。
8自身も現在は商業ライターとしてデビューをさせていただくことが決定していますし、はぼ☆たんの活動がなかったら、確実に今の自分は無いと思っています。
そうした感謝の念を抱きつつ新作製作を行っていきますので、どうぞご期待ください!
お待たせしました。シャルロッテSSのpart2です。
まず最初にお断りしておくと、通説になりつつある小児がん患者設定とか完全無視です←
あと、若干(というかかなり?)グロいです。少なくとも8の書いた中では一番グロいです(断言
まあ、まどマギという世界観がかなり救いようがない世界観ですからねぇ。それに合わせたというか、なんというか。端的にいえば、虚淵玄さんに影響受けまくったというかw
そんなこんなな、シャルSSのpart2です。
最高に救いのない狂った世界をあなたにお届けします。
テクテク
夜の街を一人でお散歩。
このあたりは海に近いから、潮風が気持ちよく頬をなでてくれる。
月は出ていないけど、近くのおうちから漏れてくるランプの明かりのおかげで、そんなに怖くもない。
おうちの方がよっぽど真っ暗だもんね。もう慣れちゃったけど。
「お譲ちゃん、こんなところで一人で歩いてると危ないよ。おうちはどこ?」
「あ、お巡りさん。こんばんわー」
声をかけてくれたのは、背の高いがっしりとしたお巡りさん。
パパよりも大きいな。でも、あまり怖い人じゃなさそう。
「はい。こんばんわ。挨拶ができるのは良いことだ。でも、こんな夜に女の子一人で出歩くのは関心しないな。お名前は?」
「私? 私はアクティーボ・ヴァン・シャルロッテだよ! シャルって呼んでね」
「アクティーボ……。そうか、あの呪われた家の生き残りか……」
「どうしたのお巡りさん?」
お腹でも痛いのかな。急にお巡りさんの顔が、痛い痛いって時の顔になっちゃった。
「いや、なんでもない。私は見回りを続けるから、君も早めに帰りなさい」
「はーい。またねー」
お巡りさんはまるでママがネズミを見つけたように、急に駆け出して行っちゃった。
う~ん? なんか変なのいたのかなぁ。もしかして、天使様を見ちゃったとか?
「それはないよ。僕の姿は人間には知覚できないからね。別の要因だろう」
私の肩に乗っかっている天使様が答える。でも、その声は私にしか聞こえないらしい。
声だけじゃなくて、姿かたちだって他の人には見れない。きっと、天使様に認められた人にしか見れないんだ。
「彼は、君のことを呪われた家の生き残りって言ってたね。それと何か関係があるんじゃないかな?」
「呪われてなんかいないよ~。パパもママも、すごく優しい人だったもん」
パパとママには怒られた思い出がないもん。呪われてるなんて、なにかの冗談に決まってるもの。
「そのようだね。君の話を聞く限り、君のお父さんとお母さんは、まるで天使のような人だったみたいだ」
「そうだよー。すっごく優しかったんだから。でも、おじさんとかはすっごく意地悪で大嫌い」
「君のお父さんとお母さんは亡くなっているみたいだけど、なんで亡くなってしまったんだい?」
「んーと。そのおじさんが、家にやってくるようになってから、おうちがどんどん貧乏になっちゃったの」
おじさんは私の家に来るたびに、大切な思い出をどんどん家の外に持ち出して行った。
おうちに飾ってたひまわりの絵も、遊んでくれたメイドさんも。そして、パパとママの笑顔だって。
持ち出すものが無くなったら、おじさんは来なくなった。だけど、食べ物だって、もう私の家には残ってなかったんだ。
「そうしたら、食べるものが無くなっちゃって。お父さんもお母さんも死んじゃったんだ」
「なるほど。さしづめ、そのおじさんという人は借金取りか何かだったんだろう」
「良く分からないけど、お父さんが持ってた船が沈んじゃって、色々な人にごめんなさいしなきゃいけないってパパ言ってたよ」
だから、パパとママはずっと色々な人に謝り続けてた。ごめんなさい、ごめんなさいって。
でも、誰も許してくれなかった。散々汚い言葉を言ったり、暴力振るったり、家の物を持ち出したり。
私が退治してる魔女なんかより、よっぽど酷かった。魔女は人間を食べるのであって、いじめないもん。
「でも、お父さんお母さんは死んで、君は生き残った。それはなぜだい?」
「ああ、それはね」
「私が、パパとママを食べたから」
「パパとママが死ぬ前にね、私たちを食べて生き残りなさいって言ってくれたの」
「だから、死んじゃってから食べたの。だから、パパとママも私の中で生きてるの」
言われた時はは食べたいなんて思わなかった。
でも、死んじゃったパパとママをそのままにしていたら、ネズミとか、ハエとか、色々な生き物がパパとママを狙うようになっちゃった。
最初はパパとママを守るために寝ないで頑張ったんだけど、もう疲れきっちゃって。
なんでこんなに疲れるんだろ。ああ、パパとママを守っているからか。じゃあ、もう守らないようにすればいいんだ。
そうだ、パパとママの死体がここから無くなれば良い。でも、私じゃ重くて運べない。
そうか。だったら、食べちゃえば良いんだ。
「なるほど。それは非常に合理的な選択だね。人間しては珍しく適切な判断だ」
「多くの人間は埋葬と称して、死体を土に埋めたり焼いたりする。そんなことをしても、少しの得にならないのに。全く、わけがわからないよ」
「難しいことは分からないけど、私それをしないと死んじゃうところだったから。ものすごくお腹すいてたんだもん」
天使様の言うことはよく分からない。でも、怒られてないみたいで良かった。
そっか、天使様は私のことを認めてくれるんだ。間違ってるのはみんなの方だったんだ。
そうだよね、大好きな人と離れ離れになるのは嫌だもん。だから、こうして食べちゃえば、ずっと一緒に居られるんだ。
なんでみんなは気づかないのかな?
「君は間違ったことをしていないよ。むしろそれを奨励すべきだ」
「ありがとう、天使様。さて、パパとママと一緒に、今日もガンバローっと」
私は両手をギュッと握りしめた。今は自分の手の感覚しかないけど、きっとパパとママにも手を握ってくれているんだ。
あの温かくて、大きくて、優しい手で。私の励ましてくれてるんだ。頑張らないと。
私は自分のお腹を一撫で
「ふーっ。疲れたぁー。甘いものでも食べようっと」
いつも下げているポーチに手を入れて、欲しいお菓子を思い浮かべる。
すると、ちゃーんと食べたいお菓子が出てくる。タネも仕掛けもない、魔法のおかげなの。
おかげで私はいつもお腹いっぱい。あー、幸せ~。
「君は本当に運が良い。グリーフシードがこんなに余ってる魔法少女は珍しいよ」
「そうなの? パパとママのおかげだよ」
「僕はそういう霊的なのは信じないのだけど、もしかしたらそうかもしれないね」
「えへへー。さてと、ベットでそろそろ寝ようっと」
お菓子を食べながら歩いてたら、いつの間にかおうちの前に着いちゃってた。
……あれ? あの馬車って……もしかして!
「お待ちしてましたよ。シャルロッテ嬢」
「むー。意地悪なおじさんだー。あっち行ってよ」
あーもう、またあのおじさんだ。あの人が来ると、一番パパとママが嫌そうな顔をするの、私知ってるもん!
今、魔法でやっつけちゃおうかな。パパとママもきっと喜んでくれるだろうし。
「ははは、これはずいぶんと嫌われましたな。しかし、意外と元気そうでなによりです。てっきりお亡くなりになってるかと」
「死んでないよ~。パパとママは死んじゃったけど」
「そうですか……。それはさぞ無念なことでしょう。神の御加護がありますように」
「平気だよ。だって、パパとママは私とずっと一緒に居るもん」
私は自分のお腹のあたりをさする。パパとママは私の血となり肉となり、私のことをずっと見守ってくれる。
目を閉じれば、パパとママの笑顔が。深呼吸すれば、パパとママの匂いが。唾を飲み込めばパパとママの味を思い出せる。
そう、私は一人じゃない。これからもずっと。
「ああ、そうでしょうな。天に召されても、きっとどこからでもあなたを見守っているでしょう。では、今はあの屋敷にあなた一人で?」
「そうだよ~」
「それはさぞかしご不便でありましょう。私の屋敷にいらしてはどうですか? 温かい食事に、綺麗なベットがお待ちですよ」
「ホントー!? やったぁ! 私、お泊りするー」
パパとママに悪いことしたから、反省したのかな?
お風呂も久々に入りたいし、お菓子以外のも食べたいかも~。楽しみ~。
「ささ、それではこの馬車に乗ってください。すぐにお連れいたしますぞ」
私が馬車に飛び乗ると、続いておじさんも馬車に乗った。
よーし、温かいご飯とお風呂に向けて出発進行~♪
第1回目更新が二次創作で大丈夫か? 大丈夫じゃないかもしれないが、空気何て読まないっ(挨拶
というわけで、今が一番ホットな話題にのっかるということで、まどマギSSの前編です。
ヒロインは……シャルロッテちゃんですよぉー。
……そこっ、誰とか言わないでっ。あのマミさんをマミらせちゃった、あの人ですよ。
ネタばれはないです。ご安心を~。
それでは、どうぞっ。
まどマギ二次創作SS 『空腹姫の憂鬱 前編』
ザーッザーッ
外はひどい雨。雨は嫌い。お日様が隠れちゃうし、何より天井から水が落ちてくるから。
ピカッ ゴロゴロ
雷も嫌い。びっくりするし、あいつらが逃げちゃうから。
チューチュー
ほら、あいつらが逃げだした。やだなぁ、追いかけたくないなぁ。
追いかけると、お腹がすくんだもの。
あいつらを最後に食べたのはいつだっけ? 1週間前? それよりもっと前?
パパとママが死んで、しばらくはそれを食べてたけど。
そのあとはあいつらをずっと食べてたから。おかげでどこが食べられるかどうかも、すぐに分かるようになったわ。
ああ、前みたいにお菓子をお腹いっぱいに食べたいなぁ。
卵いっぱい使ったレイテ・クレーメ。お砂糖たっぷりのアルフェニン。はぁ、考えただけでお腹すいちゃうよ。
「そのお願い、僕なら叶えてあげられるよ」
「……だれ?」
誰かの声が頭に直接響いてくる。
パパ、ママの声じゃない。あの怖いおじさんでもない。意地悪な従兄でもない。だれだろう?
「ここだよ。窓を開けてくれないかな? いくら僕でもこの雨は少し堪えるんだ」
灰色に塗りつぶされた窓を見る。この外に誰かいるみたい。
開けて……良いのかな? 知らない人は家の中に入れないようにって、パパに言われてから、開けちゃダメなのかな。
ピカッ!! ゴロゴロ!!
「ひゃあ!」
あー、びっくりした。でも、今一瞬見えた姿は……。もしかして天使様? 少なくとも、人じゃないみたい。
人じゃなければ、家の中に入れてもいいよね。うん。きっとそう。
ガチャ
ザァーーー
窓の外には、真っ白くて、ずぶぬれになった小さな天使様がちょこんと座っていた。
……天使様……だよね? ママから教えてもらった天使様とはちょっと違うけど。
「話を聞いてくれてありがとう。僕の名前はQBって言うんだ」
「QB……? 天使様じゃないの?」
「僕は天使なんていう想像の産物じゃないよ。天使は実在しないけど、僕は実在するからね」
天使様はそういうと、ぴょこんとジャンプして家の中に入ってきた。
猫のように身震いをして、雨を払っている。ちょっと可愛いかも。
「天使様。もうちょっと分かりやすく言ってよ」
難しいお話はきらい。あの従兄も、なんかよく分からないお金の話をずっとしてたもの。
難しい話を聞いた後のパパやママは、いつも寂しそうな顔をしていた。だから、難しい話をする人は悪い奴かもしれない。
「まあ、僕の存在なんて言う瑣末なことはどうでもいいんだよ。それより、君は何か願い事はあるかい?」
「なんでもいいの?」
「ああ、なんだってかまわないよ。僕ならなんでも叶えてあげられるんだ」
「それじゃあ、毎日お菓子をいっぱい食べたい!」
もうあいつら食べるの飽きたもん。甘いものをお腹いっぱい食べたいよぉ。
「分かった。でも、その代わり君には魔法少女になってもらうよ?」
「まほーしょーじょ?」
「そう。魔法少女になって、魔女と戦う。それが対価なんだ」
「魔女って、あの悪いやつだよね」
ママが言ってた。最近、悪い魔女がみんなを病気にしてるから気をつけなさいって。
近所に住んでたお姉さんも、魔女だからって連れていかれちゃった。さいばんっていうのをやるんだってパパは言ってた。
私には優しかったんだけどなぁ。もっと悪い魔女にあやつられてたのかも。
「人間の考えている魔女とはちょっと違うけど。でも、だいたいそんなところかな」
「私、パパやママから人のためになることをしなさいって言われてたの! だから、私魔法少女になって悪い奴と戦うよ!」
「それじゃあ契約成立だね。今から君を魔法少女に作り替えるよ」
天使様から、真っ白い光が流れてくる。
なんだか、ママに抱っこされてるみたいに温かい。こんなに温かい気持ちになったのは、久しぶりかも。
パパ、ママ。私頑張ってみんなのために戦うよ。パパやママがみんなを笑顔にしたみたいに、私も頑張るから。
私は自分のお腹を押さえて、心からそう祈った。
01 | 2025/02 | 03 |
S | M | T | W | T | F | S |
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